不動産売買契約の解除とその違約金について理解し、安全に不動産取引をするための情報を提供します。
不動産売買契約は非常に大きなお金が動きます。ですので「知らなかった」では済まされません。
専門家としての説明責任もありますが、ご自身で情報収集をして勉強する責任はあると思います。
今回は、簡単に6つの契約解除事由とその違約金について紹介していきましょう。
一つ目は手付解除に関する違約金です。
売主と買主にともに、契約締結後も契約を解除することが認められています。
それぞれの立場で手付金を返金したり放棄することで契約を解除することができます。
不動産売買契約締結後に自然災害や天災などにより、不動産が倒壊・損傷した場合には契約を解除することができます。
契約時の状態で不動産を購入できないと買主側は当初の目的が果たせません。その場合は売主が補修費用を負担することが一般的で、その内容が契約条項に含まれているケースが大半です。
このように、双方の責めに帰すことが出来ない場合は契約を白紙にすることができます。そして、売主は受領した手付金を買主に返還することになるわけです。
ローン特約とは、買主が住宅ローン等を利用する場合、借入額の全部または一部について金融機関の承認が得られないときは、売買契約を無条件で解除できるという特約です。
そして、その際に支払われた手付金を売主は無利息で返還することになります。
高額なお金が動く不動産売買では金融機関のローンを活用することが一般的です。しかし、審査状況によってはローン審査が通らないケースもあるため、ローン特約が不動産売買契約に盛り込まれています。
この制度があることで、買主は安心して手付金を支払うことができるのです。
売主と買主の間に債務不履行などが発覚した場合は、その相手方は債務を履行するように督促することができます。
それでも、相手方が債務を履行しなかった場合には、契約を解除することが可能です。
具体的な例として、
このようなケースが想定されます。
ただし、上記のような分かりやすく明確な契約違反はそこまで多くありません。
そこで契約違反と認定するために、裁判の判決を待ち相当の時間を必要とすることが多くあります。
損害額についても簡単に決めることが難しく、あらかじめ設定した金額があれば、それをいわゆる「違約金」として補填するケースが多くあります。
契約不適合責任とは、商品やサービスが契約内容に合致しない場合に責任を負うことを定めた制度です。
これは民法改正によってそれまでの瑕疵担保責任が契約不適合責任に置き換えられています。
取引の対象となる不動産に不具合や品質、種類などの契約目的と異なる内容があった場合に、買主は契約解除できる制度です。
さらに、契約不適合責任の場合は、損害賠償請求に発展するケースもあるため、売主は対象となる不動産の状況を買主側に正確に伝える必要があるのです。
この責任は、売主側にとっては”重い”責任です。しかし、民法の規定では契約不適合責任による不動産売買契約解除は1年以内に設定されています。また、特約として引き渡し後の一定期間を定めることができますし、個別に免責とすることもできます。
全国の自治体(特に都道府県)において制定された「暴力団排除条例」にもとづき、売買契約書に「反社会的勢力排除」に関する契約条項が加えられるようになりました。
不動産売買契約書についても例外ではありません。昨今の世の中の風潮により不動産業者側も厳しく対応しています。
売主、買主が契約条項に違反していた場合、契約は強制解除され、当事者は違約金支払いに加えて制裁金の支払いも義務付けられます。
違約金は売買代金の20%とし、制裁金は売買代金の80%と一般的にされています。
警視庁ホームページより抜粋
ここまで、不動産売買契約の解除とその違約金について説明してきました。
これら6つの契約解除と違約金の関連性を知っておくことで、安心して取引に臨むことができます。